消えかけて、生き返って、また消えた。②【オリジナル小説】【短編】
「あんたには自分の考えがないの?」
大学の時、サークルの先輩にそう言われた。
そのサークルも、仲のいい友達に誘われるがままに入っただけで、別に興味があったわけではない。
その友達も「かっこいい先輩がいたから」という理由で、私はそれに付き合わされただけ。
その先輩に彼女がいて仲睦まじく相思相愛であるとわかった途端、友達はサークルを辞めた。
天文サークルで、星を見に行ったり、研究したりとなかなか楽しいところだったけど、友達には合わなかったらしい。
サークルの先輩たちはいい人ばかりだったし、辞める理由もなかったので私は残った。
そして、半年くらい経った時に先輩にそう言われてしまったのだ。
なんと答えていいかわからずに黙っていると、その先輩は言葉を続けた。
「サークルを楽しんでいるのはわかってるよ」
「けどさ、周りのサポートばっかしてて、自主的にやってないじゃん」
「もちろん、すごく助かってるよ」
「だからこそ、本当にやりたいことやってるのかなって疑問なんだよ」
この先輩は男勝りな女性で、みんなから「姉さん」と呼ばれていた。
「あんたの好きなことってなに?」
「・・・わかんないです」
「だと思った」
はっきりとものを言われると、傷つくよりもむしろスッキリしてしまう。
「じゃあさ、定期的にこれやりたいな〜って頭に浮かぶことってある?」
頭の中で、色々考える。
なんだろう。
何かあったかな。
「・・・あ」
そう言えば、たまにやってみたいなぁと思うことがあった。
確かに、定期的にそう考えている時がある。
実際にやったことはないけど。
「あるんだ!よかった!」
何がよかったのだろうか。
私が口を挟む暇もなく、先輩は言葉を続ける。
「それはこのサークルでもできること?」
「もし違うなら、別のサークルにも入りなよ」
「私が寂しいから、籍は残してたまに遊びにくればいいさ」
「別のサークルには私が口利きするからさ」
「そっちがダメだったら、いつでも戻ってくればいいし」
この人、いい人なんだけど。
自分の中で完結したものを説明なく語り始めるから、たまに理解ができない。
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