消えかけて、生き返って、また消えた。① 【オリジナル小説】【短編】
2021年9月8日
2024年12月3日
人間とは何か。
私にはそれがわからない。
考えれば考えるほど、わからない。
私は何が好きなのだろうか。
好きだと思っているものは、私が心からそう思っているものなのだろうか。
周りに流されているだけなのではないか。
「これが好きなんだ」
そう言っているけれど、本当なのだろうか。
好きだと思っているのに、
頬が緩んでしまうことだってあるのに。
本当に自分の意思で好きなのだろうか、と考えてしまう。
私は昔から自分の意思がなかった。
親の言う通りに生きてきたし、望むようなことしかしなかった。
言いなりだった。
友達に合わせて流行りのものを「これいいよね」なんて言いながら所持していたし、
クラスで浮かないために必死だった。
だから「自分が本当に好きなのか」と心に問いかけたとき「どうなのだろう」と疑問に感じてしまう。
流されやすい、八方美人。
自分のことをそう思っている。
生まれてから長い間、そうやって生きてきたので
自分が何が好きで、どういう人間なのか、いまだにわからないのだ。
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