消えかけて、生き返って、また消えた。③【オリジナル小説】【短編】

 結局、他の先輩が概要を細く説明してくれて、何を言われたのか理解した。
 あの言い方だと私を追い出したいように聞こえるが、彼女の場合はそう言いたいわけでないと学んでいたので誤解はしない。
 
 単純に言えば「好きなことをとりあえずやってみろ」と言うことだ。
 
 
 そんなわけで、私は「文芸サークル」にも所属することになった。
 
「好きかどうかはわからないけど、小説を書いてみたいと思うことはよくあります」と言ったからだ。
 
 文芸サークルは、週に1度しか活動がないし、集まるのも強制ではない。
 ただ、新人が来た時だけは執筆のための基礎講座として密に活動する。
 
 中途半端な時期だったし、初心者である私はサークルの代表に個人的に指導してもらうことになった。
 彼は嫌な顔をせずに、引き受けてくれた。
 
 とは言っても、文章なんて個性があるものだしルールなんてあってないようなものだから教えたことを守る必要もないと言っていて、意外と自由なんだなと思った。
 
 とりあえず何か書いてみると言うことになり、テーマを決める時「天文サークルにいたのだから」と星をテーマに決めた。
 「初めてはわかる分野で」とアドバイスをもらったからだ。
 
 頭に浮かんだことを文字にして行くことが楽しくて仕方なくて、気づいたら朝になっていることもあった。
 週に1度の文芸サークルは、仲間といろんな話をして楽しかったし、小説の参考にするために天文サークルにも出入りしていた。
 
「最近、いい顔してるね」と言われた時は、なんだか恥ずかしかったけれど、嬉しい気持ちが大きくて。
 
 私に「好きなことをしろ」と言ってくれた先輩にお礼を言うと「よかったじゃん」と私より嬉しそうに笑うのでびっくりしてしまった。
 
 楽しく、幸せで充実していたから、私は油断していたのだ。
 

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