神様が存在したら可哀想な彼女たちは救われるのか。【オリジナル小説】【短編】
神様は存在しない。
「私、悪いことした?」
クラスメイトに取り囲まれて、暴言を吐かれていた。
思わず、いつも疑問に抱いていたことを口に出す。
一瞬だけポカンとした彼女だけど、
すぐに引き攣った顔をして、
「お前の存在自体が悪いんだよ!!」と叫んだ。
正直、私が彼女たちの前に存在することに、私の意思はない。
呼び出されて引きずられるように連れてこられたのだ。
だから、貴女たちの視界に入っているのは、私に責任はない。
勝手に視界に入れたくせに、意味がわからない。
存在自体が気に入らないのなら、視界に入れなければいい。
話しかけなければいい。
無視していればいいのに。
わざわざ話しかけて、視界に入れて、
こんな暴言を吐いているのは、紛れもない彼女たちだ。
私はそれに付き合わされているだけ。
私が彼女たちにとって「悪」であり、「邪魔」であるのなら、
単純に関わらなければいいだけのことだ。
ばか、なのだろうか。
私には学校に来なくてはならない理由があるし、
授業をサボるわけにはいかない。
教室に入らなければならない理由がある。
強引に私と関わっているのは彼女たちであって、私ではない。
それなのに、なぜ?
私が咎められなくてはならないのか。
理不尽としか言いようがない。
最近、テレビで若者の学力低下とか、考える力がないと騒がれているが、
きっと、こういうことなのだろう。
余計なことではあるが、
彼女たちの将来が心配になる。
本当に、バカなのだろう。
祖母が良く言っていた。
「馬鹿に付ける薬はない」と。
だから、私が彼女たちに何を言っても無駄だろう。
まあ、彼女たちの将来なんて、私には関係のないことだ。
けれど、可哀想な人達だ。
だからこそ、私は彼女たちの暴言を聞いてあげなくてはならない。
神様が存在するのであれば、
こんな可哀想な人達が救われるのに。