私は、優しくない、らしい。 【オリジナル小説】【短編】
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オリジナル小説です。
※この作品は、フィクションです。
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私は、優しくない、らしい。
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私は、優しい人間ではないらしい。
妹は、ことあるごとに姉である私の悪口を言っていた。
学用品を隠したり、壊したり、部屋を荒らしたり。
小学生の頃は、怒ることもあったが、
中学に上がることには、全て無視していた。
自分のことを悪く言う人間や、
嫌がらせをしてくる人間のために自分の時間を使うことが無駄だと思ったからだ。
それは、学校生活でも同じであった。
私を嫌ったり、嫌がらせをしてくる人間に反応しない。
そんなことをしているうちに、
視界に入っていても、視界に入っていないように振る舞ったり、
五感に入っていないつもりで、行動することができるようになった。
それでも、嫌がらせをやめない人間はいたが、
あまりにも私が気にしないし、こちらからは普通に挨拶したりもしていたので、
いつの間にか、私の前から姿を消していた。
大人になってからも、
妹は私の悪口を言うのをやめなかった。
私がそれを無視して、なんの反応もしないことも変わらなかった。
ある時、父親から、
「あいつは、お前に構って欲しいんだよ」
「少しは、構ってやれ」と言われた。
正直、何を言っているんだ、と思った。
「どうして、自分のことを悪く言う人間に対して、そんな配慮をしなくてはいけないのか?」
そう告げたら、父は怒鳴り散らした。
「お前が、そんなだから!あいつが捻くれたんだ!!」
私が、自分のことを悪く言われて、
傷ついていないと思っているのか。
むしろ、自分のことを悪く言う人間を、陰口を叩く人間を、
どうして、私が相手にしなくてはならないのか。
どう考えても、時間の無駄である。
私が無視をすることで、相手が捻くれようが、
ストレスを感じようが、
悪口を言うことをやめればいいだけである。
それをやめないで、勝手に捻くれて、病んだだけなのに、
どうして、私に責任があると言うのだろうか。
意味がわからない。
いや、わかる必要もない。
妹は、私の前から姿を消した。
たまに会う親族から、彼女が相変わらず私の悪口を言っていると聞いた。
それを教えてきた人たちも、
私を馬鹿にしている感じだったので「そうなんだねぇ」と適当にあしらっておいた。
ある時、会った妹の同級生からは、
「会うと、お姉ちゃんの悪口ばっかりで、もうあの子と会うの嫌」と言われたが、
私の知ったところではない。
とりあえず、「会うかどうかの判断をするのは、貴方だから好きにしていいよ」とだけ言っておいた。
自分のことを悪く言っている奴に対して「まあ、仲良くしてやってよ」などと言ってやる必要はない。
たまに、家族、妹に対して、そんな態度は酷いのではないか、と責められることもあるが、
私は、家族とか妹とか、それ以前に「自分の悪口を言っているやつ」と言う認識しかしていない。
家族だから、妹だからと、特別扱いはしないのである。
そんな私は、優しくない人間らしい。
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