第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない。⑤

  ④へ    それが誤解だと伝えたい衝動に駆られたが、ただのお客さんに言う必要はない。 「すみません、トイレ借ります」 新しく店内に入ってきた男性が、そう言ってトイレに向かって行った。 「どうぞ、奥になります」  すで […]

第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない。④

  ③へ    それを言葉にすることはしないけれど、私は彼女のことを心配するようになってしまった。  だから、顔を覚えていなくても彼女のことが気にかかる。 「今日は天気もよくて、よかったですね」 「でも、授業中眠くなって […]

第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない。③

  ②へ    そんなわけで、私の退勤1時間前はレジとお客さんとのコミュニケーションが業務になるのだ。  正直な話をすれば、人と関わることが苦手なので顔も覚えることができないから、声や会話の内容、表情の作り方、身体の動か […]

第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない。②

  ①へ    今はインターネットで自分の作品を簡単に公開できるのは知っているが、私には必要ないと感じていたしコンビニで使ってもらえるから充分だった。  ポップはすべて手書きでコピーはしていないから、飾ってあるものしか存 […]

第2話 私は感情を作り出している。③

  目次はこちらから。 ②へ   「店長、終わりました」「ありがと。今日はなにか予定はある?」  基本的に女性は夜の勤務をすることができないので、私は夕方6時には上がるようにしている。 朝は7時くらいから出勤しているので […]

第2話 私は感情を作り出している。②

    目次はこちらから。 ①へ    昼間のコンビニはお客さんが途切れることは殆どない。 立地がいいからか、それなりに繁盛しているので下手をすると休憩を取れないときもある。  高校時代からここで働いているために古株とい […]

第1話 ただ、生きている。それだけのこと。②

   目次はこちらから。 ①へ  心から笑った記憶はないし、笑いたいと思ったこともない。 顔に笑みを張り付けて、その場を乗り切るだけ。   私の感情は、その場の状況によって作られる。  笑うべきところでは笑って、泣くべき […]

第9話 どうして、私を責めたりしないのだろうか

  目次はこちらから。    平日の図書館にも人は多い。  定年を迎えた人、未就学児を連れた親子、暇そうな主婦、予備校生などが多いのはどこも同じだろう。  私の住んでいる地域は工場が多いためか、平日が休みの社会人もいる。 […]

第8話 「私という存在」が許されるためにしていることがある

  目次はこちらから。   いつもと同じ日々が過ぎていく。  バイトに行き、家に帰って、休みの日には図書館に行く。  ただ一つ違うのは、休みが合えば海野さんに会くらいだ。  バイト以外に人と会うなんて本当に久しぶりのこと […]

第7話 「人間らしさ」など捨てたはずなのに

   目次はこちらから。      初めて友だちという存在ができた。  というよりも「友だち」と名前のついた関係が初めてなのだ。  今まで一緒に出掛ける人間や、お喋りをする人間がいなかったわけではない。  ただ、その人た […]