オリジナル小説 / 彩られた無色(オリジナル小説)

第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない。④

 

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 それを言葉にすることはしないけれど、私は彼女のことを心配するようになってしまった。

 だから、顔を覚えていなくても彼女のことが気にかかる。

「今日は天気もよくて、よかったですね」

「でも、授業中眠くなって先生に当てられましたよ~。座学は苦手です」

「私もそうですよ、働いていても眠くなります」

 彼女は私の目をじっと見て、目をきらきらさせる。

 なんだろうと思っていたら彼女がなんともいえない期待する目で見た。

「ほんとですか!?恵梨香さんでもそうなんですか!?」

「ええ…?もちろん」

 どうしてそんなことを言うのかわからなかったが、次の言葉でなんとなく理解した。

「恵梨香さんみたいな完璧な人でも、そんなことあるんですね」

「いやいや、私も人間ですよ」

 呆れたような笑いを浮かべてみたが、心の中では溜息をついていた。

 私のどこが完璧なのだ、こんなに曖昧で不完全な人間など、滅多にいないのだから。

 そんなことを考えていた。彼女は私が完璧だと思っている。

 

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投稿者

rui@rui-world.net
主婦です。 気ままに活動しています。

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