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第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない。②

 

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 今はインターネットで自分の作品を簡単に公開できるのは知っているが、私には必要ないと感じていたしコンビニで使ってもらえるから充分だった。

 ポップはすべて手書きでコピーはしていないから、飾ってあるものしか存在しない。

 だから、興味を持った人たちが足を運んでくれるというのも商売戦略の1つでもあるのだ。

 以前は展示期間が終わったら捨ててしまっていたのだが、今は希望する人に抽選でプレゼントしている。

 これはバイトの女子高生のアイディアで、すべて彼女が管理している。

「恵梨香さん、才能があるのにもったいないです!!うまくいけば食べていけますよ!」

 ものすごい剣幕で責められたこともあったが、趣味の範囲だと言ったら引き下がってくれた。

 それでも「この作品を世に広めないなんて、もったいない」と店長と交渉をして、抽選プレゼントや彼女自身がインターネットで広めてくれているらしい。

 お客さんが増えたのは、私ではなく彼女の広報活動のおかげであると言っても過言ではない。

 最近の女子高生は行動力がすごい。

 そんなわけで、彼女の時給も少し高くなっているし、売り上げが大幅に伸びたときは賞与を出していた。

 店長は30代の家庭を持った女性だ。

 男勝りで大雑把なのだが、経営力がある。

 従業員に丸投げしているというのは聞こえが悪いが、アイディアを出せば、すんなりと許可をくれる。

 「成果が出れば、相応の報酬を」を基本として、実際に成果をあげた従業員には年齢を関係なく多少の賞与を出す。

 そのためか、バイトとはいえ従業員のやる気は高い。

 「たかがバイト、されどバイト。仕事は仕事」という言葉がしっくりくる。

 そんなわけで、従業員の団結力はいいと思っている。

 たまに「近いから」という理由で入ってくるバイトやパートがいるが、もともと「ただ時間だけいて働くだけ」なんてことは一切しないコンビニなので、すぐに辞める人も多い。

 逆に、どうしてもと言って少し遠くから通勤してくる人もいる。

 言うなれば、特殊で変なコンビニとして有名なのだ。

 店長自身が少し変な人なので許されている。

 前は本社から色々言われていたらしいが、売上が多いことを理由に黙らせたと店長が嬉々として語っていた。

 それにフランチャイズ契約だから、本社も強くは言えなかったらしい。

 

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