閉じる

第2話 私は感情を作り出している。③

 

目次はこちらから。

②へ

 

「店長、終わりました」
「ありがと。今日はなにか予定はある?」

 基本的に女性は夜の勤務をすることができないので、私は夕方6時には上がるようにしている。
 朝は7時くらいから出勤しているので生活していくには問題はないし、家に帰っても商品ポップを作るなどの内職をしている。

 そういうものの経費はしっかり出してくれるし、賞与として貰っているので無償労働ではない。
 自分が器用な人間でよかったと思う。

「家に帰って、次の商品ポップでも作ろうかなと」

 微妙な顔をした店長は溜息をついた。
 
 なにが言いたいのですか。

「飲みに行ったりしないの?」
「しませんよ。フリーターはお金に余裕がありません」

 私が貰っている時給は、それなりに高いのだが他の従業員にばれるわけにもいかないので誤魔化しておきたいし、実際に生活だって余裕があるわけではない。

「たまにはいいと思うけどなぁ」
「お酒が好きなわけでもありませんから」
「つまんないなぁ」

 店長のことは好きだし、付き合いが長いから世間話もするけれど。
 私を人と関わらせようとする言葉は受け入れられない。

 職場と家の往復しかしなくて、休日は図書館に居座る私を心配してくれているのはわかるけれど、私には本気で人と関わる気はない。

 それをわかっているからこそ、そんなことを軽くは言っても強制してこないから長く働けているのかもしれない。

 

次のお話

第3話 興味がないから、人の顔など覚えられない

 

目次はこちらから。

 

 

コメントを残す

あなたのメールアドレスは公開されません。必須項目には印がついています *

CAPTCHA


© 2020 泪の雫 | WordPress Theme: Annina Free by CrestaProject.