都合のいい神様は存在しません。(オリジナル小説)

第2話 楽しそうに笑う不思議な女性に出会った

 

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「雨が降りそうだったから、家まで洗濯物を取り込みにいっていたのよ」

この喫茶店の店主は都さんというらしい。

店に入った私に、タオルを貸してくれた。拭いても少し濡れたいたので、店の奥の洗面台でドライヤーまで使わせてくれた。

今は、コーヒーをいただいている。

「助かりました。今度、お金持ってきます」

「気にしなくていいわよ。ここ古本屋だから」

思わず店内を見渡してしまったが、彼女は楽しそうに笑うだけだった。

「ここ、少しシステムが変わっているのよ。ほら、あれ」

彼女が指さした先には「サービス料はお気持ちで」と書かれた箱が置いてあった。

なんの変哲もない、ただの木箱。

「基本は古本屋なんだけど、それじゃ商売にならないから適当に飲み物出して、あの箱を置いているのよ。喫茶店というよりは、暇人のたまり場って感じかしらね」

私は商売のことはよくわからないけれど、それでも疑問に思う。

「このお店、大丈夫なんですか?」

失礼なことを聞いている自覚はあったが、都さんは笑っていた。

「それが、不思議と成り立っているのよねぇ。まあ、収入源はほかにもあるのよ」

「…そうですか」

カウンターの中で、私と話しながらコーヒーを飲んでいる都さんは、理由はわからないけれど、とにかく楽しそうだった。

「一応、暖房は入れているけど…まだ寒いかしら?」

「大丈夫です」

「じゃあ、おいしいケーキがあるから食べましょう」

冷蔵庫から出した白い箱を、カウンターの上に置いてニコリと笑う。

「申し訳ないです」

「雨が止むまででいいから、私のティータイムに付き合ってくれるかしら?この時間は、いつも1人だし雨でお客さんも来ないだろうから、寂しいのよ」

そんなこと言われたら、断れるはずがないのに。

「じゃあ、遠慮なく」

「ありがとう」

都さんが出してくれたケーキは、有名店のチーズケーキだった。

女子高生が簡単に食べられないような高価なもので、最近ついていなかったのに、

もしかして、ツキが回ってきたのかもしれないと、なんだか嬉しくなった。

 

 

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投稿者

rui@rui-world.net
主婦です。 気ままに活動しています。

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