
第2話 私は感情を作り出している。①
最近の若者は定職に就かないからダメだ。
そんなことを言う大人もいるが、それぞれの理由があるのだから放っておいてほしい。
サラリーマンでもOL、大企業の社長、フリーランス、コンビニで働くフリーターでも仕事をしてお金を貰っていることに変わりはないし、金額に差があるのは責任の重さの違いだ。
どれが大変で楽なのかなんて基準はない。
責任を負えば給与は上がるが精神的疲労が大きい。
フリーターは責任重大な仕事を任されることは稀だが、長い時間を働かなければ生活ができない。
もちろん、それがすべてに当てはまるわけでもないが殆どの場合はそういうことになる。
なにを選ぶかは人それぞれの自由でいいのだ。
私の選んだ道を先入観や固定概念で文句を付けないでほしい。
私がそんなことを考えているのは、働いているコンビニの常連の男性から「いい年なのだから、定職につけ」という話をレジ打ちしながら聞かされたからだ。
これまでの話から推測すると、働いていた頃はそれなりの地位にいたサラリーマンらしい。
恐らく定年を迎えて隠居しているのだろうが、余計なお世話としか言いようがない。
それを笑顔で相槌しながら聞いていたが、心の中では溜息をついていた。
仕事の邪魔にならない程度の世間話だから構わないのだけど、少し疲れる。
これが感情労働というものなのだなぁなんて諦めにも似た笑いが零れてしまった。