【オリジナル小説】 都合のいい神様は存在しません。 小説

【都合のいい神様は存在しません。】 第10話

 

都さんの旦那さんが電話をかけてからの間、私以外の人たちは、なにもなかったかのように過ごしていた。
私はコーヒーを飲んで、ケーキを食べて、都さんと雑談しながら待っていた。
話した内容は、本当にくだらないことだ。
お父さんが来ることに緊張していたから、私から話題を振ることはなかったけれど、都さんがいろいろな話をしてくれたのだ。
気をもんでいる私に気を使ってくれたのだろう。
 
1時間くらい経って、本当にお父さんがやってきた。
私のことは聞いていたのか、驚きはしなかったけれど、ここにいることには驚いていた。
 
「いらっしゃい。コーヒーでいいかしら?」
「はい。ご無沙汰しています。娘がお世話になったようで…ありがとうございます」
 
いつものお父さんとは違う雰囲気。
 
「葉月、大丈夫か?」
「…うん、私のほうこそ…ごめんなさい」
 
コーヒーとケーキをカウンターに置いた都さんは、にこりと笑ってお父さんを見た。
 
「私たちは奥で遊んでいるから、2人で話をしてくださいね」
 
それだけ言って、コーヒーとケーキを乗せたトレイを持って行ってしまった。
お父さんは、私の隣に座って大きなため息をついた。
バツが悪くなったけれど、お父さんが怒っていないことはわかっていた。
 
なにか言わなくては…と思うけれど、なにを言っていいのかわからない。
 
「…とりあえず、葉月がここに入り浸っていてよかったよ」
「…え?」
 
そのあと、お父さんからいろいろ話してくれた。
 
両親は私が学校をサボっていることを知っていた。
けれど、しばらく様子を見ることにして放っておいたようだ。
そろそろ話を聞こうと思っていたところに、連絡があったらしい。
 
「なんか…ごめん」
 
話を聞いた後、思わず言ってしまった言葉だ。
 
「気にするな。お父さんも若いころはいろいろあったしな」
 
確かに、おじいちゃんから、そんな話を聞いたことがある。
 
「お母さんにも連絡はしてあるから、仕事が終わったらここに来るってさ」
「…うん、わかった」
「とりあえず、円形脱毛症をなんとかしないとな」
「…ハイ」
 
なんか親に直接言われると、ものすごく恥ずかしい。
 
「しばらく、学校を休んでもいいぞ?」
「え?」
「毎日、ここに来るならな」
 
本当に、お父さんと都さん、もしくは旦那さんの関係ってなんなんだろうか。
 
「本当に、それでいいの?」
「それはお父さんが決めることじゃない。葉月が決めることだ」
 
少しだけ、後悔した。
なぜ、両親に相談しなかったのか。
恥ずかしいとか考えている暇があったら、言えばよかった。
 
 
そういえば、両親は私に勉強しろとか、いい学校に行けとか言わない。
私が決めたことには、協力してくれていた。
 
けれど、友人たちから親の話を聞いていて、親というものは、いい学校に行かないと怒る、勉強しないと怒るのだと思い込んでいたのだ。
 
その思い込みから、私もそうしないといけないのだと勘違いしていた。
 
お父さんも、お母さんも、一度も言ったことがないのに。
 
 
 

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泪-rui-

主婦です。

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