【オリジナル小説】 都合のいい神様は存在しません。 小説

【都合のいい神様は存在しません。】 第9話

 

アロハシャツを着た”チョイ悪じじぃ”はジョージと名乗った。
本名ですか?と聞きたくなったが、あまりにノリノリな笑顔でいうものだから、「よろしくお願いします」としか答えられない私。
 
「で?なんだ?」
「この子、円形脱毛症になっているみたいで」
 
ジョージさんは「ほぉ」と呟いて、私の顔を見つめてきた。
その顔は、さっきまでとは違い、とても真剣で、少し怖い。
 
「まあ、詳しく調べてみないとわからんが…嬢ちゃんは。貧血気味だったりするかい?」
「いえ、特には…」
 
ジョージさんは了解を得てから、私の手を触ったり、顔や目の中を覗いたりした。
 
この人がお医者さんというのはわかっているけれど、アロハシャツのおじいちゃんに触られるのは、変な感じだ。
 
「とりあえず、ちゃんと調べないと…なんともいえないな」
 
それはそうだよね。
 
「明日、うちの病院で検査しよう」
「え?」
「予約は入れておくから、親御さんと一緒においで」
 
ニカっと笑ってくれたジョージさんだったけど、私はそれどころではなかった。 
 
 
学校をサボっていることを親に言わなくてはいけないのだ。
いずれはバレることだし、怒られることも理解している。
わかってはいるけれど…。
それでも、こんな急には困る。
 
「ちょっと、ごめんね」
 
奥で新聞を読んでいた旦那さんが、コーヒーカップを持って私の隣に座った。
 
「君のお父さんは、緑川晴也さんだろう?」
「え、あ…はい」
 
どうして知っているのだろうか。
 
「実は、君のお父さんには仕事でお世話になっていてね。家族写真を机に飾っているから、もしかしたらと思っていたんだ」
 
そう言いながら、旦那さんはスマホを取り出した。
なにをするのだろうと不思議に思ったが、次の一言で体が固まった。
 
「今から、お父さんを呼ぶね」
「は?」
「こういうのは早いほうがいいからね」
 
仕事中なのに、いいのだろうか。
というよりも、この人は偉い人なのだろうか。
 
助けを求めて都さんを見ると、いつもと変わらない穏やかな笑顔でこう告げた。
 
「大丈夫よ。この人はなんの利益もないのに、こういうことはしないから」
 
なんか、ものすごい言葉を聞いたような気がしたけれど、なにも言うことができなかった。
大人って、よくわからない。
 
 

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泪-rui-

主婦です。

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