【オリジナル小説】 都合のいい神様は存在しません。 小説

【都合のいい神様は存在しません。】 第1話

 

今日はついていない。
いや、最近ずっとだ。
 
学校に行っても楽しくない。
友達といても、笑うことに疲れる。
 
 
おとといの夜、頭にハゲを見つけた。
円形脱毛症らしい。
 
ネットで調べたら、原因はストレスとあった。
 
恥ずかしくて、だれにも言えなくて、昨日から学校をさぼっている。
親には、まだバレていないみたいだけど。
このまま、サボっていれば、いつかはバレる。
 
 
さらに、急に降り出した雨。
傘もないので、すぐそばの軒先で雨宿りをしている。
 
しばらく止みそうにないし、駅までは少し遠い。
行くところもなく歩いていたら、来たことがない場所まで来てしまったのだ。
 
駅から少し離れただけなのに、なんだか寂れている気がする。
 
 
ここにいて、大丈夫かな…。
 
 
お店の人になにか言われないかとか、怪しく思われていないかとか不安ではあったけど、雨だしお金もないから仕方がないのだ。
店の中をのぞいても、定休日なのか人影も見えない。
ドアを見てみたら「クローズ」というプレートがかかっているし、本当に定休日なのだろう。
 
なんの店だろうと、看板を探してみたけれど、なにも書いていなかった。
 
薄暗い店内を覗き込むと、本棚やカウンター、ティーカップが見えたから喫茶店なのかもしれない。
  
 
しばらくは雨宿りできそうだ。
 
 
ほっと息を吐いたとき、人が近づいてきているのがわかった。
顔を上げると、傘を差した女の人が立っていた。
 
白いワイシャツに黒のスラックス。
 
 
「雨宿りかしら?」
「あ、はい」
 
 
その綺麗な声に引き込まれそうになった。
 
「寒いでしょう?よかったら中に入って。そこ私の店なの」
 
鍵を開けて、ドアのプレートを「オープン」にしながら、手招きをした。
 
「いや、私、お金そんなに持っていなくて…」
「気にしないで。困ったときはお互い様よ」
 
 
知らない人の誘いに乗ってはいけないとはわかっているけれど、雨の寒さには耐えられそうにないと自分に言い訳をして、店の中に足を踏み入れた。

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泪-rui-

主婦です。

気ままに活動しています。

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